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【ゴミ吸着防止静電気対策概要】 |
1. 静電気測定
まず初めに、対策を実施する範囲の静電気測定を実施願います。周囲の環境により静電気の発生は異なりますので、測定は1回だけではなく天候や時間、曜日を変化させて測定を実施してください。
冬場は外気が乾燥して湿度が低くなり、静電気が発生しやすくなります。年間を通して測定し、静電気が発生しないように対策を実施しましょう。
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2. 静電気電圧の確認
静電気が発生しているか、いないかを上記1にて測定し、その電圧が±1000Ⅴ以上でしたら対策が必要です。対策は、上記のフローチャートに従って実施願います。
±1000Ⅴ未満でしたら、静電気対策は必要ありません。
しかし、静電気が少しでもあれば上記「1.静電気測定」でも解説しましたが、静電気は変化するため継続的測定が必要です。
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3.対策
①空間対策
湿度調整を50%以上にコントロールすることで、表面抵抗値を下げ、静電気発生を抑える効果があります。梅雨の時期は静電気発生が少なく、冬の乾燥時期は静電気発生が多くなるのはそのためです。
クリーンルーム等で、湿度を年間通して一定にする方法は非常に効果的ですが、維持費が高価になります。また、湿度を高くする事で電子部品に与える影響が大きいなど、難しい問題もあります。
湿度での対策は、他の対策を実施し、補助の対策と考えてください。
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②導電性物質対策
導電性とは、その名の通り、電気を通す性質のことをいいます。電気の移動は主に、電子が移動することによって行われます。つまり、ある物質において電子が移動しやすいか否かが、その物質が電気を通しやすいか(導電性)、通しにくいか(絶縁性)を決定します。
導電性:電気が通る ⇒ 金属・人体など ⇒ アースに接続して静電気を逃がし帯電しないように対策
絶縁性:電気が通らない ⇒ プラスチックなどの化学製品など ⇒ 静電気が溜まるのを防ぐように、材料変更及び導電材塗布、イオン中和を実施する。
導電性対策は、簡単に言えば
「導電性物質にある静電気をアースに逃がす ⇒ アースに接続する」となります。
皆様の工程内にアースはありますか?設置されていなければ、工程内にアースを単独で配線する方法を推奨します。
設備用の電源盤には、アース端子が必ずありますので、そこよりアース線を引いてください。アース線を天井下に配線し、各工程毎の作業台にアース端子が設置出来ればなお良いでしょう。
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(1)治具・道具・設備等
導電性の治具・道具・設備等は、アースに接続してください。 複数配線する場合は並列に接続し、絶対に直列配線にしないでください。接続が切れると、その設備以降アース接続が途切れてしまいます。
点検方法は、導通チェッカーにて接続されていることを確認します。 |
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(2)作業者
作業者は、人体と衣服に分けて考えます。
A)人体
人体は、水分が多く導電性の物質です。
人体対策は、リストストラップでアースに接続するか、導電靴+導電性マット・床のどちらかを選択してください。人体に対しては、両方の対策を実行することはないと思います。
a)リストストラップ
人体は導電性ですので、アースに接続すればよいのですが、作業者が高圧電源に接触してしまった場合に、感電防止のために抵抗を内蔵している対策アイテムを使用します。これがリストストラップです。
(1MΩ程度の抵抗が内蔵している)
点検方法:リストストラップチェッカーにて確認する事
b)導電靴+導電床マット・床
人体の静電気を、靴⇒床⇒アースに流します。その為、導電靴+導電マット・床をセットで使用します。床全体を導電性にするには費用が掛かりますので、導電性マットを床に敷いて使用する方法をお勧めします。
導電靴や床は、汚れると抵抗値が大きくなり絶縁されてしまいます。ですから導電靴は、導電靴チェッカーを用いて日常点検をし、床は日々の清掃を心がけ汚れていないようにしてください。
導電靴+導電マット・床はセットですので、単品で使用しないでください。
静電対策ではなくなりますのでご注意ください。
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B)衣服
洋服の摩擦などで静電気が発生しますので、帯電防止作業服の着用をお勧めします。各メーカーで各種作業服を販売しておりますので確認お願いいたします。
注意としては、帯電防止作業服には寿命があります。導電性の糸が編み込まれている生地が大部分ですので、その糸が切れ始めたら寿命になります。洗濯などの条件にもよりますので、メーカーに確認願います。
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③絶縁性物質対策
絶縁性とは電気が流れない物質です。それは、主に化学製品やプラスチックなどの成型樹脂製品などが挙げられます。
これらの静電気対策は、「絶縁性物質を導電性に変えること」と「静電気をなくすこと」が対策になります。
それでは、対象物毎に説明いたします。
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(1)冶具・道具・設備等
絶縁物質で出来た治具・道具・設備等は、摩擦接触で必ず静電気が発生します。静電気が発生した時、表面の静電気を逃がす方法があります。
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(A)帯電防止剤
帯電防止剤は、絶縁物質表面に塗布し、表面の導電性を高め静電気が流れるようにする材料です。例として、界面活性剤を説明いたします。
界面活性剤は、水に馴染み易い物質(親水基)を持ち、水に溶けにくい物質との仲立ちをするものです。絶縁性の表面に界面活性剤を塗布すると水分を取り込み、表面の静電気を流し静電気が溜まらない様にします。 |
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しかしこの方法は、液剤を塗布するので掃除や接触等で取れる欠点があります。
しかし、定期的に塗布することで、その欠点はなくなります。
方法としては容易で安価ですので、お勧めいたします。
静電気帯電防止剤は成分の違う製品が、各社から販売されていますので、対象物に対して影響が出ない成分を使用することをお勧めいたします。
(B)導電材料
もう一つの方法は、治具等の材質を変更し、導電性などの樹脂に変更することです。しかしこの方法は、完成している治具等を変更するには費用と時間がかかってしまうため、新規に制作するときは、治具の設計標準に加えておくことをお勧めいたします。
また使用する材料に、静電気対策を施した材料がありますので、材料メーカーにお問い合わせください。
(2)床・作業台・保管棚等
床・作業台・保管棚は、人体の歩く場所・作業する場所、製品を置く場所になり、摩擦等で静電気が発生し易いです。この場所に対し、導電性マットを引いて静電気をアースに逃がします。
導電性マットは、ESD対策用に販売していますので確認願います。
導電性マットを敷いて対策が終わりと考えている人がいますので、注意してください。導電マットをアースに接続しなくては対策完了とはなりません。必ずアースに接続するようにしてください。
尚、床の対策として、床を改修する方法がありますが大掛かりになるため、省略いたします。詳細に関してはお問い合わせください。
(3)部品および製品
対策としては最後になりますが、静電気対策というと必ずこの製品が出てきます。
そうです、イオナイザーです。
絶縁性の部品および製品を扱う場合、帯電した静電気が何時までもなくならず困ることが多々あります。静電気が発生した直後、イオンにより中和しなくてはなりません。このときに使用する静電気対策用品がイオナイザーです。
イオナイザー(Ionizer)は、名前の通りイオンを生成する装置です。静電気をなくす装置ではありません。イオナイザーから発生したイオンにより、静電気と結合して中和ができる装置です。
過大解釈する方が多いいので、あえてこう書かせていただきます。
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それでは、コロナ放電方式のイオナイザーの原理から説明いたします。
鋭い針先(放電針と呼びます)に高電圧(数千V)を印加すると、コロナ放電(空気の絶縁が破れて起きる放電で、針の先のような形状に起こりやすい)を起こしイオンを発生します。
そのイオンを風など使用して対象物に運び、静電気と中和させます。 |
コロナ放電方式のイオナイザーの原理 |
次にイオナイザーの種類について説明しましょう。
イオナイザーの種類は、放電方式や高圧電源方式・送風方式により分類されます。
放電方式の種類は、次の4つに分けられます。
コロナ放電式(一般的)、グロー放電式、・プラズマ放電式、・軟X線式
イオナイザーとしては、コロナ放電式が一般的です。放電針印加する高圧電源の方式により、分類されます
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(a) 直流方式
放電針が、+および-専用になっており、連続的にイオンが発生する。
イオン量が多く、再結合が少ない為に除電時間が早い。
除電効果は、近・遠距離ともに効果がある。
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イオナイザーの種類
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(b) 交流方式
放電針が±共用で、交流電源使用でコロナ放電の時間が短いため、イオン発生量が少ない。除電効果は、近距離に効果がある。
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(C) 高周波方式
交流方式の欠点をなくす為、パルス電圧を加えてイオン発生量を多くしている。
除電効果は、近・遠距離ともに効果がある。
また、送風方式から下記に分かれております。
(a) ファン方式
(b) 圧縮エアー方式
(c) 無風方式
シーズシーが取り扱っているイオン発生装置CS-JJは、クリーン化機器に取付け、清浄化された風に載せてイオンを飛ばし除電するもので
す。主にエアシャワーに取付けて使用します。詳細ページではイオンの特性や実験なども紹介しております。良かったら、ご覧ください。
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