パーティクルカウンター使用者は必見です!
クリーンルームやクリーンブース、ベンチなど、クリーン機器を設置した後は気中清浄度の維持管理が大切なテーマとなります。FED、JIS、ISOなどのクリーンルーム規格でも、気中パーティクル数を基準に清浄度クラスを分けています。目に見えない微小なゴミ・ホコリを対象とするクリーンエリアの状態を知るには気中パーティクルカウンターが必需品です。当ページは気中パーティクルカウンター使用者が知っておきたい情報を集めました。
※パーティクルカウンターと言えば、気中パーティクルカウンターの他に、液中パーティクルカウンターや油中パーティクルカウンターなどもありますが、当ページでは気中パーティクルカウンターの話だけをします。
気中パーティクルカウンターの種類
まずは、気中パーティクルカウンターの種類を知っておきましょう。気中パーティクルカウンターの中でも、測定可能粒径や機能が様々なため、対象粒径や用途によって使い分けることが必要です。ここは、シーズシーが扱っているものと実験に使用しているものを3種類ご紹介します。
粗大粒子用のパーティクルカウンター(左の画像)の粒径区分は5段階あります。10μm以上、20μm以上、30μm以上、50μm以上、100μm以上です。このタイプは、シーズシーではタンブリング試験装置に使用しています。
微粒子用タイプ(中央の画像)は、0.3μm以上、0.5μm以上、1.0μm以上、2.0μm以上、5.0μm以上、10.0μm以上で分級できます。定格流量は28.3L/minです。
微粒子用ハンディタイプ(右の画像)は、持ち運びやすいのが最大のメリットです。用途によって吸引口にチューブを付けて測定することもできます。粒径区分については、KC-51は0.3μm以上、0.5μm以上、5μm以上で、タッチパネルタイプのKC-52Aは、0.3μm以上、0.5μm以上、1μm以上、2μm以上、5μm以上です。
定格流量は2.83L/minです。
規格の清浄度について
測定の単位体積は、規格によって異なることがあります。以前普及していて現在でもよく使用されるFED209D規格では、清浄度のクラスを分ける際に、「1CF(※注1)中のパーティクル数」を基準にしています。そして、「クラス100、クラス1000、…」のクラスの呼び方は、「0.5μmを対象に1CF中のパーティクル数の上限値」を表しています。
※注1 CFは、キュービックフィートのことであり、1辺が1フィートの立方体の体積を表す表記です。約28.3リットルに相当します。
それに対しFED209E以降では単位体積に1立方メートル(1000Lに相当します。)を使用するようになりました。
なお、現在では上記の規格はどちらも廃止され、ISO14644シリーズに統一されています。この規格でも対象体積を1m3と定めていますが、しかし、パーティクルカウンターの試料の吸引量から考えてもFED209Dがいまだに多く使用されているという現実には変わりありません。
(ISOではISO Class 1、2・・・9のように言います。)
次の用をご覧ください。ISO5~8がFED209Dのクラス100~10万に対応しています。
参考ページ
- クリーンルームの定義と規格について
- クリーンルームの清浄度について
- JIS B 9919 におけるクリーンルームの気流設計
- JIS 9920(ISO 14644規格の前身)による測定方法
- ISO14644-1:2015によるクリーンルーム面積と最少サンプリング位置数
清浄度を保持するためには
初期には十分な清浄度を保っているクリーン機器も、使用する間にさまざまな要因で清浄度が落ちていることがあります。ある日突然、気が付いて愕然とすることがないように、日ごろの状態をチェックすることが重要です。パーティクルカウンターで定期的に測定することをお勧めします。
考えられるクリーン度の低下の要因
- クリーンルーム内で使用する機械(動力まわり)からの発塵
- クリーンルーム内で使用する備品からの発塵
- 作業員からの発塵
- 空調機のトラブル、フィルターつまりなどによるクリーンルームの能力低下
など
異常な事態を早い段階で気付くことが大事です。異常が見つかったら、他の見える化ツールなどのご使用に合わせて原因を探り、改善していくことがクリーン化の要です。
ところが、要注意なのは微粒子だけではない。
パーティクルカウンターでは分からない粗大粒子の堆積にも要注意!
前述した通り、多くのパーティクルカウンターの最大分級は5μm以上(粗大粒子用の場合は100μm以上)ですが、クラス1万のクリーンルームユーザーが悩まされているの粒径は、30μm以上などの場合が多いです。粒子が大きいと異物の挙動が変わってきます。10μm以上の粗大粒子は、時間が経つにつれて落下し、堆積します。落下しきった粗大粒子はパーティクルカウンターで吸引できません。
パーティクルカウンターの限界
パーティクルカウンターの分級では、ハンディタイプ場合、10μmのパーティクルでも100μmのパーティクルでも「5μm以上」のカテゴリーに入るので、区別できません。そのため、工程の懸念異物が200μm以上の場合、状況を性格に把握するために、200μm以上のパーティクル数をカウントするツールを選んだ方が良いでしょう。
また、パーティクル吸引力には限界があります。パーティクルが離れれば離れるほど、また大きければ大きいほど、吸引力が追い付かず、吸い込みにくくなります。パーティクルカウンターでは、「ゼロ」を表示されても、安心できないのです。
そのため、粗大粒子対策は他のツールと併用してカバーすることをお勧めします。
クリーンルームライトで
気中のパーティクルを見える化