クリーン化におけるあるべき姿2
あるべき姿に近付く為の手法(クリーンルーム作業員の着用物編)
前回は、『作業員が身に着ける着用物のあるべき姿』をご紹介いたしました。今回は、『あるべき姿に近づく為の手法』をご紹介いたします。その前に、目標とするクリーン設定についての説明が必要となります。まずは、そこから始めて参りましょう。
目標クリーン設定について
まず第一に、クリーン化を行う上で各工程での到達させたい【クリーン目標】を明確にしなくてはなりません。従って、不良となる異物の寸法・種類を明確にし、その工程に必要なクリーン度の設定が必要です。不良内容の中には目標が隠れています。その内容に関しては工程ごとに異なるため、例を挙げて説明いたします。
異物寸法
不良判定する異物の寸法(例:0.5μm以上の異物・・・主に塗装、自動車関係)
異物の種類
不良判定になる種類(例:髪の毛 ・・・主に食品関係)
クリーン度
パーティクルカウンタで測定できる値
(例:0.3~10μm程度・・・主に半導体関係)
※粒径は大きくても10μmですので、半導体関連以外は目安として使用します。
これらのように目標設定を掲げて、設定値以内に改善を行うことで 到達目標と現状とが明確になり、改善が進めやすくなります。
では、クリーン設定についてご説明したところで、『あるべき姿に近づく手法』について、ご紹介して参ります。
作業員の着用物編
選定
前述したように目標クリーン設定を参考に、着用物を選定します。
クリーンルーム用の作業服であれば、作業員が快適に作業が進められるものや、クリーン度による仕様(上下別や、フード一体型など)に分けて製作されているものがあるので、目標クリーン設定に基づくと作業服の選定が容易になります。
ただし、異物の大きさを目標設定している場合は、実際に発塵試験を実施し、測定することを推奨いたします。多種の資材を比較検討するには良いでしょう。メーカーのデータを参考にして実際に発塵試験を行い、測定することが重要です。
また、容易に発生異物を見つける方法としては、黒いシート上で対象物を叩き、落下物を観察測定するなど、簡易的にも可能ですので参考にしてください。
※シーズシー神戸ラボルームにてタンブリング試験装置を使った測定が可能です。
着用方法(ルールを決める)
着用物毎に、着用方法を決めて作業員に説明します。「ルールを守らなければ不良を作る恐れがあること」を理解させなくてはなりません。
そのためには意識を向上し、各自のクリーン意識を高める事が大切になります。例として、着用物を着用している写真をロッカールームなど着替える場所に鏡と一緒に貼り出し、一目で自分の姿と見比べることが出来るようにすることで、意識的に考え方が向上出来れば幸いです。
保管方法
着用物毎に、対象物自身より上のクリーンの保管場所を推奨いたします。
汚れているものとは混合せずに、分別し保管をお願いします。作業靴などのロッカーは、上に上履き、下に下ばきを置くようになっているものがありますが、別々に保管することを推奨いたします。
交換方法
作業をすると着用物が汚れ、製品に再付着するため交換が必要になります。
交換時期を明確に決めて交換を行うことが必要となります。
クリーン服などの場合は週初めに交換し、週ごとに色を変え、一目で交換していることが他部署の人がわかるようにすべきです。
洗濯・破棄方法
着用物毎に洗濯方法や破棄方法、使用期間や洗濯回数を決めて管理する事を推奨いたします。再利用する物は、クリーンに合った洗濯方法を決めて実施してください。洗濯業者に依頼する場合は、使用期間や洗濯回数がわかるようにタグ管理方法などで業者に管理してもらうのが良いでしょう。
簡易的な洗濯の場合は、一般的な洗濯機を使用してもよいですが他の衣服と混合しないようにし、洗濯機を専用機にすることが望ましいです。
洗濯や破棄の基準として、実際の現物の汚れ具合をサンプルにして、選別してください。またディスポタイプの資材は、ほつれや破損が発生したものは破棄してください。