クリーン化におけるあるべき姿4
1)テープ
区域の境目となる床にテープを貼り、境目を目立たせることで違いが一目でわかるように使用します。また、靴の履き替えを行う区域ではテープの代わりに粘着マットを設けることがあります。区分けの効果と共に、靴底の汚れを除去し、持込ゴミの低減にも効果が期待できます。
【要件1】テープは、クリーンルーム用床テープを使用していますか?
テープの剥がれた状態や劣化は、発塵する恐れがあるので注意しましょう。
【要件2】粘着剤の跡残りが少ない製品を使用していますか?
テープを剥がした跡の糊残りに汚れが付着し、それが堆積して発塵の素になります。極力、糊残りの少ないテープを使用するようにしましょう。
【要件3】テープの色は、区域毎に色分けを行い、目立たせていますか?
区域ごとにテープの色分けを行い目立たせることで、作業者に認識させることが重要です。
【要件4】静電気対策区域では、静電気対策用の床テープを使用していますか?
静電気対策区域では、静電気対策用テープを使用し静電気の発生を少なくしましょう。
2)段差
床に段差を設けてゴミが這い上がらないようにし、そこで靴の履き替えを行うことが重要です。また、区域ごとに台車を使い分ける場合、段差を設けることで進入しにくくなるため、仕掛けとしては良いでしょう。
【要件1】 段差で区域分けを行う場合は、靴の履き替えを行っていますか?
段差部分で履物の交換を行うことで、持ち込みゴミが減少します。
【要件2】 段差に加えて下駄箱を併設していますか?
下駄箱を併設すると、作業者のクリーン意識が高まります。
【要件3】 段差の場所は、注意喚起がされていますか?
段差でつまずかないよう注意を促し、安全に気をつける。
3)下駄箱(靴の履き替え)
履物を履き替えて、履物に付着した異物の持ち込みを防止します。
【要件1】 下駄箱は、専用の下駄箱ですか?
下駄箱は2段式ではなく、下履き・上履き・クリーン用など専用の下駄箱が望ましいです。
【要件2】 定期清掃は行っていますか?
下駄箱には靴の付着物が落下するので、定期的に清掃を行ってください。
4)粘着マット
履物の底に付着した異物を除去します。区域を分ける時に用いたり、区域間を移動する際に粘着マットを踏むことでクリーンアップ効果に繋がります。
【要件1】 粘着マットの粘着力は決まっていますか?
粘着マットの粘着力は主に、強・弱があるため工程の靴底形状によって選択しましょう。
【要件2】 粘着マットは静電気対策用マットですか?
粘着マットは積層仕様が多く、剥がす時に静電気が発生します。静電気対策が必要な工程などで使用される場合は、静電気対策品の粘着マットがお勧めです。
【要件3】粘着マットの交換(シート剥がし)は定期的に行われていますか?
マットが汚れると、そこがゴミの発生源になり持込ゴミの原因に繋がります。汚れたら剥がして新しい粘着面にし、一定の時刻で交換することを推奨します。
【要件4】通過時の渋滞はありませんか?
多人数の場合は、粘着マットを複数枚敷いて立ち止まらずに通過することで、区域間による渋滞を防ぐことができます。最低でも片足3回は踏むように心がけましょう。
5)二重扉
区域の境目に部屋を設置し、異物の直接侵入を防止するために二重に扉を設けます。部屋を緩衝部屋として、異物侵入を防止します。
【要件1】部屋内を倉庫にしていませんか?
部屋内を荷物の受け渡し場所と考えて倉庫のように使用していると、異物の堆積場所となるため、荷物の保管場所にはしないようにしましょう。
【要件2】二重扉は、同時には開閉できないようになっていますか?
二重扉にインターロックを掛ければ、同時に扉が開かずゴミの持ち込みが少なくなります。
【要件3】部屋内は定期清掃をしていますか?
部屋内は、持ち込みゴミが堆積するため定期清掃が必要です。
6)エアシャワー
二重扉だけでは、人間に付着している異物の除去ができないため、エアシャワーを設置し、強制的に異物除去を行うようにしましょう。この時に、作業服をクリーンウエアに変更すれば異物除去は効果的です。
エアシャワーについては次回以降2回に分けて、あるべき姿『機能編』『使う人編』をお届けします。その後は、クリーン化におけるあるべき姿『搬出入編』へと続きます。