クリーン化におけるあるべき姿5
材料搬入編
1)材料搬入
クリーンエリアに持ち込む材料や、搬入物には必ず異物が付着しています。作業者が、その搬入物全てを清浄かどうかを確認することは不可能なことです。持ち込みゴミは、クリーンエリア内での異物の大きな要因です。これらの異物を持ち込まないようにする為に、清掃や搬入方法の見直しが重要になり、下記の搬入物の対策が必要になります。
- 台車
- 通い箱、トレー
- 梱包材、材料
(1)台車
【概要】
台車は、本体やタイヤに異物が付着し、容易に異物がクリーンエリア内に持ち込まれています。またタイヤの劣化や摩耗などによってタイヤ自体から異物が発生します。台車の可動範囲を決め、台車やタイヤの定期清掃が重要となります。
【確認要件】
1)台車の可動範囲は決まっていますか?
ゾーニングを基本に台車の可動範囲を決めて、荷物の載せ替えなどを実施し、ゾーニング毎に、専用台車にすることが望ましいです。
2)台車の荷台・タイヤの定期清掃を実施していますか?
台車の汚れ具合を点検し、清掃の管理基準を設定して清掃を行うようにしましょう。
3)台車の運行ルールは決まっていますか?
台車の急発進・急停止・急旋回はタイヤの摩耗を増加し、床に跡がつき異物の原因となってしまうため、禁止する運行ルールを決める必要があります。
また、タイヤは摩耗が少ない製品もあるので、交換するなどの対策も必要です。
(2)通い箱、トレー
【概要】
通い箱、トレーは、工場内外で使用されており非常に汚れている場合が見られます。
箱の底部は、搬送保管時に床に直置きされて汚れや石等がめり込んでいます。
また、箱内部からは、梱包・部品・材料カス・埃・昆虫など、多くの異物が混入しています。通い箱・トレーの清掃する区分は顧客との関係で明確になっていないのが現状で、長年持ち込み異物の減少に歯止めが出来ていない状態です。
通い箱・トレーの清掃、清潔維持の対策が必要です。
【確認要件】
1)通い箱・トレーの清掃区分が顧客と明確になっていますか?
通い箱・トレーは、所有者が明確になっていても清掃の責任分担が明確になっていない為、清掃がおろそかになっています。付着異物が、どこで付いていても清掃の分担は決めておくべきです。
2)通い箱・トレーの清掃は定期的に実施していますか?
通い箱の内側・底部、トレーの清掃が定期的に実施していないと、持ち込みゴミが減少せず、慢性的に異物は出続けます。清掃分担を決め、定期的に実施することを推奨します。
(3)梱包材・材料
【概要】
梱包材は、持ち込まれるクリーンレベルに合わせて設定し、梱包材からの発塵で不良を作らないようにする。ダンボールは、開梱時に異物の発生原因となる為クリーンエリアには持ち込まないよう、クリーンレベルで持ち込み禁止を設定する。
仕入先より持ち込まれる材料は、異物が付着して搬入される場合が多いので、仕入先と打合せをし、クリーンレベルに合わせて除去してもらうことをお勧めします。
【確認要件】
1)クリーンレベルに合わせ、持ち込み禁止品が決まっていますか?
クリーンレベルに合わせ、持ち込み禁止品が設定されており従業員に周知徹底されていることを推奨します。
2)梱包材は、クリーンレベルに合わせて異物対策品を使用していますか?
梱包材は仕入先と打合せを実施し、異物対策を考慮し選定することを推奨します。
3)材料搬入時の材料に付着している異物の対策を実施していますか?
材料搬入時に異物対策を考慮し、仕入先と打合せを行って選定することを推奨します。必要に応じては、仕入先にて搬入前に洗浄等の処理が必要と考えています。
2)搬入口
搬入口は、【通常使用】と【大物搬入専用】の2種類に分けられます。通常使用する搬入口は、開放面がなるべく小さくなるよう工夫され、外気の流入や虫の侵入を防止するような機能が付けられています。大物搬入専用の入口は、開放面が大きく外気が入りやすいため普段は使用ができないように施錠してあり、必要時に開放されます。ここでは、主に通常搬入口についてまとめました。
1)コンベアを使用搬入口では必要以上に外気が入り込むことを防止するため、開放を小さくすることが大切です。そのための手段として搬入前室にて開梱し、搬入口にコンベアを設置することがお勧めです。
2)インターロック機能をつけるインターロック機能を付けることで、外気がそのまま入ることを防止します。また、エアカーテンを併用することで、搬入口で必ず問題となる虫の侵入対策にも効果的です。