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クリーン化と静電気対策について 

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なぜ、静電気対策が必要なのでしょうか?/ESDとESA
以前からクリーンルーム内でも静電気対策が必要ということは言われてきました。特にエレクトロニクス分野では、ESD(Electrostatic discharge)によるデバイス破壊防止として静電気対策が行われてきました。
しかし、近年、高い清浄度を求められる分野・工程が増えてくるとESA(Electrostatic attraction)によるゴミの吸着防止を目的とした対策にも重点が置かれるようになりました。ESAによりゴミが付着することで歩留まりが低下し、良品率が下がるからです。
ESA 静電付着


クリーンエリアでの静電気対策
クリーンエリア中での静電気対策は主に以下のような方法で行われます。

1.静電気を速やかに逃がす。
使用するアイテムの表面抵抗値を「静電気拡散性」のある範囲内に管理し、確実にアースに落とします。

対策の注意点
おおもとのアースを確実に行うことが大切です。各アイテムのコストは安いのですがものによっては入り数が多かったり、単価がやたらと高かったり、あるものはクリーンルームで使用可能な対象品が見つからなかったりして、結構面倒です。また、作業者のマナーにも大きく影響されます。例えば、リストストラップをきちんと着用しなかったり、しっかり足を地面につけて作業をしていなかったり、ということで途切れたりします。

 アースの効果、導電性クリアホルダー・導電性バインダーの実験レポート



2.静電気を除去する。
絶縁物質や静電気の発生しやすい工程には、イオンを発生させ、静電気を中和することで除去します。いわゆる「イオナイザー」です。

対策の注意点
イオナイザーで発生させたイオンは通常約2秒程度の寿命しかありません。そのため、有効範囲が大変狭い範囲に限られています。クリーンエアとイオナイザーのブロワーの関係や設置位置に注意が必要です。
さらにイオナイザーの中には、発塵を伴うものや定期的なメンテナンスが必要なものも多いので取り扱いには注意が必要です。
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3.湿度をコントロールする。
湿度を50%前後にコントロールすることで、表面抵抗値を下げ、エリア全体の静電気を抑えることができます。非常に効果的な方法ですが、様々な点で難しい問題もあります。

対策の注意点
クリーンルームの空気は空調機を通すことで、一年を通じて、ほぼ外気よりも低い状態になります。そのため、加湿が必要な場合が多いのですが、そもそも、クリーンエリアは空気の処理量が一般の環境よりもはるかに多いので加湿に必要な水量も膨大なものになり、コストがかかります。また、霧吹き方式では水滴とパーティクルの区別が付かないので、管理方法に注意が必要です。このことについて次の章で詳しく考えて見ましょう。
 気化式加湿機「クリーンヒュー」気化式加湿機



クリーンブースと加湿の効果について考える
相対湿度40%で静電気対策が可能

相対湿度で40%以上であれば、物質の表面に水の連続した膜が出来るため、表面抵抗値が下がります。よって、絶縁物であっても静電気は表面から拡散され逃げ易くなります。これが、静電気が発生しにくくなる理由です。静電気吸着でお困りのお客様からは、よく「雨の降る日は歩留まりがいい」という話を聞きますが、これは雨の日は相対湿度が高いためです。また、日常生活においても湿度の低い冬には静電気が起こりやすいことが知られていますが、逆に夏場には、エアコンによる低湿度にも注意が必要です。

クリーンブースにおける加湿

クリーンブースとは原則、加湿を含む空調がなく、周囲の壁も断熱保温効果がないものが使われます。また、通常、清浄エアも循環せずにワンウエイで外へ排出します。このような状態で加湿しようとするとなかなか難しいようです。
よくお客様から「クリーンブースを加湿しようと思い加湿器を設置するが効果がない」というお話を聞きます。そこでここでは、クリーンブースを加湿する場合に必要な加湿量について考えて見ましょう。

空気線図から絶対湿度を読み取る

湿度について計算するときに便利なのが空気線図です。ある温度のときの相対湿度から、そのときの絶対湿度を読み取ることが出来ます。また、目標とする湿度にするにはどのくらいの加湿が必要なのかを絶対湿度から算出することができます。

例:25℃ 相対湿度30%のときの絶対湿度は0.006kg/kgです。これを相対湿度50%にするには、25℃50%のときの絶対湿度は0.010kg/kgなので差し引き0.004kg/kgが必要ということになります。厳密には気圧によって変化しますが、乾き空気1kgは約1立方メートルなので単位を直すと4g/1mです。  

クリーンブースの場合は?

ここで仮に4×4×2mHのクリーンブースがあったとしましょう。このブースの容積は32立方メートルです。
また、クラス6(クラス1000)相当の50回/時間の換気回数であったとしましょう。1時間当たりの処理風量は32×50=1,600立方メートルとなります。クリーンブースは通常ワンウエイなので、全部空気が入れ替わると仮定するとこのブースをRH30%→50%にするときに必要な加湿量は1,600×4g=6,400g/時間=6.4リットル/時間となります。

家庭用の加湿器の仕様を見るとこのブースのだいたい同じ広さの10畳用の加湿器でだいたい0.5リットル/時間とありました。ということはこの加湿器なら約13台必要ということになります。なるほど、1台や2台では効果がないわけです。

まとめると次のような計算になります。

必要加湿量=1時間当たりの処理風量×必要絶対湿度

※ほとんどの風量を循環するクリーンルームや循環仕様のクリーンブースではこのとおりではありません。


クリーンルームにおける 静電気によるゴミ(粗大粒子)の付着と対策
ところで、クリーンルームにおけるワークの表面への粗大粒子の付着原因としては、重力・気流がもっとも多いと思われます。1μmより大きな粗大粒子は気流に沿って挙動しますが、滞留域では空気の粘性によりゆっくりと落下していきますが、速い気流があると再び、舞い上がります。図1はそのイメージです。右からクリーン機器がない場所での浮遊ゴミの落下、真ん中は作業員からの発塵・歩行による床のゴミの舞いあがり、左は床の反跳気流が壁などを沿ってゴミを舞い上げワークに落下させる例を示しています。*1 クリーンルーム内の発塵
図1 粗大粒子の落下
このような場合、適切なクリーン機器の配置、ワーク・作業員の動線と区域分け、気流の改善などのクリーン化対策によってゴミの付着を防ぐことができます。
ところが、静電気によるゴミの付着はこうした対策だけではなかなか防ぐことができません。そうした事例をあげてみましょう。
1)段ボール+ラップ包装と2重包装されて納品されたワーク(もしくは副資材など)をクリーンルームに入れる場合。通常、前室・開梱室などでラップを剥がしてから入室させます。このとき、「ラップを剥がす」という作業が強い剥離帯電を引き起こし、もともとはラップ包装の表面についていたゴミがワーク表面へ移ってしまう原因となります。図2 静電付着
図2 前室開梱作業中に静電付着

2)パレットに乗ったフィルムロールのようなワークを外梱包を外し、台車の乗せて移動させる。この場合にも、静電気により床の砂塵などが多く付着します。図3 フィルムロールの異物付着 図3 フィルムロール移送時の付着

2つの例はいずれも梱包材を剥がすときや乗せ替え作業時、台車に載せて移動する間の振動などで発生する静電気が原因となっており、周囲環境により再現性にばらつきがあるため、原因として分かりにくいのが特徴です。図4にばらつきの要因をまとめてみました。 静電気の発生しやすさ
図4 静電気の発生しやすさ


上記例の対応策としてすぐに頭に浮かぶのがエアシャワーですが、実は風による摩擦で静電気はより強くなってしまうこともあり、簡単には除去できないのが実情です。そこで、エアシャワーにイオン発生器「CS-JJ」を取り付けた実験のビデオが下記のものです。*2

実験の概要

軽く擦ったPETフィルムに髪の毛を10本付着させたものを両吹きエアシャワーに入れて20秒エアジェットを作動させる。CS-JJをOFFの場合、ONの場合で残った髪の毛の数を数える。※OFFの場合、髪の毛が残るのですが、かなり見えにくいのでご了承ください。左の上の方に数本かたまってあります。

実験の結果と考察

画質の問題で少し、見えづらいのですが、静電気対策をしない場合は10/10本が残るという、非常にショッキングな結果になります。逆に除電を行うと残0本と完全に除去できるので、静電気が頑固な付着の原因であることは間違いありません。エアシャワーの目的はクリーンルーム内へのゴミの持ち込みの軽減なのですが、結果から静電気対策も怠ってはならないことがうかがえます。  
【参考ページ】
*1 粒子の大きさ・気流について 排気のある工程でのクリーン化について
*2 CS-JJ エアシャワー搭載実験
 

静電気対策の基本
静電気対策を行う上で忘れてはならないのが 静電気の3原則、すなわち「1.気が付かない 2.常に変わる 3.どこにでもある」です。まず、静電気の特徴を知り効果的な対策を考えましょう。

どのように発生するのか?・・・摩擦が主な原因 ※物質と物質が擦れると静電気は発生する。金属のほか、水、空気など何でも発生することを忘れずに!

静電気は+、-の2極に分かれる。同極は反発し、異極は引き合う。

静電気はより大きな電位に向って流れようとする。最終的には地上でもっとも電位が大きなもの、地球(アース)に向って流れようとする。

静電気の流れは絶縁物質によって遮られる。通常、「静電気がある」とは絶縁物質が原因で遮られ、電気が溜まった状態のことを言う。

クリーンエリアでの静電気対策の問題点とシーズシーの対策
クリーン化対策と静電気対策は大変密接な関係があります。近年急激にクリーン化ニーズが高まっているフィルムやプラスチック加工などの工程では表裏一体と言ってもよいほどです。

しかし、通常、クリーン化対策と静電気対策はまったく別の製品が個別に使用されているケースがほとんどです。クリーン化する機器と静電気を除去する機器に何の関連もないため、お互いに無駄な機能がついていたり、十分な効果が発揮できなかったりする場合があります。
そこで、シーズシーではクリーンユニットやエアシャワーなどのクリーン化機器とイオン発生器「CS-JJ」を組み合わせた提案を中心にクリーン+静電気対策を推進していきます。

例えば、エアシャワー。風速23m/秒と台風並みの風速でゴミを吹き飛ばしますが、フィルムを擦った後、髪の毛を落とすと静電気でくっついてしまって髪の毛を飛ばすことができません。しかし、CS-JJをセットすると髪の毛を飛ばすことができるようになります。 
→ 詳しくはこちらのページをご覧ください。


イオン発生器
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シーズシーの静電気対策用品と実験レポート
 静電気を速やかに逃がす(表面抵抗値で対策)
 静電気を除去する(イオンで中和する) イオン発生器「CS-JJ」の紹介はこちら
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 実験レポート 
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